価格戦略で集客力を高めるために、一番重要なポイントは、柔軟に価格を調整することです。なぜなら、価格はターゲット層にとって直感的に施設の価値を感じられる要素であり、最も変更がしやすいからです。
そこで集客の不満要素の原因の一つに、稼働率の低下があります。それを解決するために価格戦略を考える上で大切なポイントは、
① ターゲット層に合った価格を設定すること
② 価格の変更を計画的に行い、施設の信頼性を保つこと
③ 価格に応じた価値や魅力を提供すること
です。これを実現する方法として5つあります。
① 平日価格の大幅な値下げ
平日稼働率の向上を目指して、関心を引く価格帯に設定し、ターゲット層を呼び込みます。
② 土曜日の価格微調整
土曜日は少しだけ価格を上げ、稼働率の変化を観察します。稼働率が下がれば元に戻し、収益最大化を図ります。
③ 予約の時期や日程による価格調整
早期予約や繁忙期に応じて価格を調整し、ターゲット層に応じた柔軟な価格設定を行います。
④ 公式ライン登録での特別価格提供
公式ラインに登録いただいた方には、特別価格を提供することで、リピーターの獲得につなげます。
⑤ 実験と調整を一定のスケジュールで行う
価格の頻繁な変更は避け、11月中旬からの計画的なスケジュールに沿って実験し、信頼性を保ちながら最適な価格帯を見つけます。
上記のポイントや手法を活用することで、筆者が実際に運営する民泊では、ターゲット層に適した価格帯が見つかり、安定した稼働率の向上が見込まれています。重要なポイントとして、価格設定の柔軟な調整が、集客力と施設の信頼性の両方に繋がることを、ぜひ覚えておきましょう。
集客の要は「価格」「魅力」「広告」
民泊運営において「価格」「魅力」「広告」は集客を左右する重要な要素です。民泊に限らず、観光業界全体でこの3つのバランスが取れている施設が顧客の信頼を集め、リピーターを生み出しています。とはいえ、集客課題に対して全ての要素に同時に手をつけるのは難しいため、まずは最も柔軟に調整しやすい「価格」に焦点を当てることにしました。
価格は、他の要素と比べて比較的変更しやすく、柔軟な調整が可能です。ターゲット層に合わせた価格設定ができれば、宿泊者に施設の魅力が伝わりやすくなり、初回利用や口コミの増加が期待できます。施設の価格設定を戦略的に行うことで、他の要素の改善に注力するための基盤も整えやすくなります。
今回のブログでは、集客改善の第一歩として「価格設定」の実験と調整についてお話しします。
価格設定の重要性と最初に行った理由
価格設定が与える印象は非常に大きく、料金が魅力的であれば宿泊の動機にもなります。「価格=施設のイメージ」として捉えられることも多く、価格によってターゲット層が決まり、宿泊者にとっての施設価値が明確になるのです。
さらに、価格は施設運営者にとって最も柔軟に調整ができる要素です。大幅な改修や新たなアメニティ導入といった設備投資に比べ、価格変更は比較的コストがかからず迅速に実行できます。例えば、土曜日の価格を少し上げる、平日を割安に設定するなど、短期間で実行しやすい価格調整は、宿泊者の反応を素早く確認し、即座に結果が見える利点もあります。このため、まず価格調整を行い、集客改善の方向性を見極めてから、施設の魅力や広告に注力する戦略を採ることにしました。
現在の課題と価格戦略
現在の課題は、曜日や季節に応じた稼働率の偏りです。現状、土曜日はある程度稼働がありますが、日曜日や平日はほとんど稼働がない状況で、特に年末年始や連休のような特別なシーズンだけが高い稼働率を維持しています。安定した稼働を目指すため、価格設定に以下の戦略を採用しました。
価格戦略の概要
- 平日価格の大幅な値下げ 平日はほとんど予約が入らないため、価格を大幅に引き下げることで関心を引き、稼働率の向上を目指します。具体的には、現在の平日料金を大幅に削減し、ターゲット層が興味を持つ価格帯を探ります。また、段階的に価格調整を行い、どの価格帯で稼働が始まるかを見極める実験を行います。
- 土曜日の価格微調整 土曜日は比較的稼働があるため、少しだけ価格を上げ、稼働率への影響を観察します。これにより、土曜日の稼働率が大幅に下がるようであれば、従来の価格帯に戻し、無理のない範囲での収益最大化を狙います。
価格設定における柔軟な対応
この価格戦略では、価格を必要に応じて段階的に調整し、ターゲット層の反応に基づいて変更を行います。しかし、価格を頻繁に変更することで、施設の信頼性に悪影響を与えないよう注意が必要です。価格が定まらないと「価格に見合った価値が保証されない」と感じられる可能性があるため、価格調整は計画的に行います。そこで、以下のようなスケジュールに沿って実験を進めていくことにしました。
実験のスケジュールと価格変更のタイミング
価格変更は柔軟に行えるものの、あまりに頻繁に行うと施設の信頼性や顧客の期待が損なわれるリスクがあります。そこで、価格調整の実験を行うにあたっては、事前に定めたスケジュールに沿って慎重に進めていきます。
実験スケジュール
- 11月中旬〜2月末:価格調整の初期実験期間 価格調整の初期実験期間として、土曜日、日曜日、平日の価格変動が稼働率にどのような影響を与えるかを確認します。この期間では、特に平日・日曜日の需要喚起が目標です。少しずつ価格設定を変えながら、宿泊者の反応と稼働率の変化を観察し、次の価格設定に向けたデータを収集します。
- 2月末〜GW(ゴールデンウィーク):連休価格の調整 2月末までの実験結果をもとに、連休時の価格設定を検討します。この期間は、通常よりも観光需要が増えるタイミングであるため、連休の需要に対応するための価格調整を行います。稼働率と収益を最適化することで、連休中の収益を最大化しつつ、過剰な値上げによる反発がないよう配慮します。
- 5月中旬〜8月末:観光シーズンの集客に対応した価格設定 夏の観光シーズンは、特に地域の観光需要が高まる時期です。この期間の稼働率を安定化させるため、通常の週末や平日と比べた価格設定を導入します。安定した稼働率と収益のバランスを目指し、最適な価格帯を見つけていきます。
新しい価格設定の概要
新しい価格設定では、予約の時期や日程に応じて価格を調整し、詳細な料金表は非公開とします。これにより、柔軟な価格設定が可能となり、先行予約やリピーターの方に対しては価格の優遇を行い、顧客が「早めに予約するほどお得」というメリットを享受できるようにします。
価格の段階的な調整
宿泊者が施設の価格に納得してもらえるように、料金設定を調整します。シーズンや需要の高低に応じた価格設定を行い、施設の価値が安定的に評価されるように努めます。また、「早割」や「直前割」といった多様な価格設定を導入し、宿泊者が用途に合わせて最適なプランを選べるよう工夫します。
今後の課題と展望
価格設定は集客改善の第一歩として柔軟に調整しやすい要素ですが、最適な価格帯を見つけることができれば、次は「施設の魅力」と「広告力」の強化に注力していきます。特に、価格とサービス、施設の魅力は集客において強く関連しています。宿泊者に「価格に見合った価値がある」と感じてもらうことが最も重要であり、価格とサービスが連動するほど、宿泊者にとってのコストパフォーマンスが向上します。
今回の価格戦略を通じて安定した稼働が得られるようになれば、「施設内での快適な滞在体験」「屋内レクリエーションの提供」「静かな環境を活かした集中・リフレッシュの時間提供」など、施設内での特別感を演出することで、さらに魅力を高めたいと考えています。家にはなく、わざわざ購入するまでではない便利なグッズを提供し、滞在中に「ここでしか味わえない」非日常を演出していきます。
広告力を活用したアピール
価格設定と施設の魅力が整った段階で、広告力を活用してそれらを効果的にアピールすることが大切です。SNSや口コミサイト、地域観光協会との連携などを通じて施設の特長と魅力をシンプルに伝え、ターゲット層への訴求を強化します。
価格戦略を軸にした集客改善と今後の目標
集客改善において、最も実行しやすく柔軟に調整できる「価格」に焦点を当てることで、ターゲット層に合わせた魅力的な施設としての方向性が見えてきました。今後は、価格と施設の魅力のバランスを保ちながら、宿泊者に「ここでしか味わえない体験」を感じられるような施設づくりを進めていきます。
また、広告力を活用して、価格とサービスの良いバランスを効果的に伝え、潜在顧客に対して適切なアピールができるようにすることで、長期的な集客の安定化を図ることが目標です。
施設としての価値がしっかりと伝われば、宿泊者の満足度が向上し、リピーターの増加にもつながります。今後も価格戦略と施設の魅力の向上、広告戦略をバランス良く組み合わせることで、宿泊者にとっての「特別な体験」を提供する民泊を目指します。
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