先日、インテックス大阪で開催されたホテルレストランショーおよびFOODEXに出展しました。今回の出展は、関西地区における初の挑戦であり、これまで直接的な伝手や実績が少ないエリアでの新たな取り組みでした。しかし、元スタッフが独立したことをきっかけに、大阪支店を立ち上げ、関西におけるさらなる展開を目指して今回の展示会に臨みました。
この記事では、そこでの学びを設計者の皆さんに向けて共有し、特に空間デザインの現状や新たなビジネスチャンスとなり得る民泊需要について、深掘りしていきたいと思います。展示会の結果から得た知見をもとに、空間デザインにおける新しい視点と、課題にどう向き合うべきかについて話していきます。
記事の目的
設計者として、今どのような空間が求められているのか、コロナ禍を経た現在、需要がどのように変化しているのかを理解するのが難しくなっています。特に都市部ではすでに多くの空間が存在し、十分な供給が行われているように感じられることがしばしばあります。しかし、需要の現状を正確に把握することで、今必要とされている空間デザインを見つけ、クライアントに提供することが重要です。
この記事では、大阪の展示会で実際に得た学びをもとに、今後の設計にどう活かすかを探ります。
展示会での行動とその学び
今回の展示会では、以下の3つの行動を中心に情報収集を行いました。
- ホテルオーナーと飲食店オーナーの空間に対する投資意欲の確認
- 展示会では、ホテルや飲食店のオーナーに対し、現在の投資意欲や、求めている空間デザインについて直接話を伺う機会を持ちました。特に注目したのは、コロナ後における空間投資の方向性です。どのようなニーズが新たに生まれ、どのような空間が「求められている」のか、その答えを求めて様々なオーナーと対話しました。
- 同じ出展社へのアプローチ
- 展示会には、他の設計会社や施工会社、建築関連の企業も目の前に参加していました。同業他社との交流を通じて、現在の市場の動向や、他社が提供している価値について情報交換を行いました。この交流によって、自社の強みを再確認するとともに、業界全体の課題感も見えてきました。
- 他業種からの視点
- 飲食業やホテル業以外の出展社にも積極的に話を聞きに行きました。こうした異業種からの情報は、新しいアイデアのきっかけになります。特に、食材生産者、メンテ業者、海外からの輸入食材、機器や雑貨など、空間を通じて体験を提供する業種からの知見は、ホテルや飲食店にも応用可能な視点を得ることができました。
これらの行動を通じて、空間デザインに対する投資意欲や新たな需要について、リアルな声を集めることができました。
意外と高まる民泊の需要
今回の展示会で最も驚いたのは、民泊に対する需要の高まりでした。多くの来場者や出展者が、民泊という形態に大きな関心を寄せていました。ただし、「運営をしたい」というわけではなく、「空いている土地や建物を有効に活用したい」というニーズが強い印象でした。
多くの方々が抱えている課題は、空間の活用方法です。ホテル業界のような本格的な運営には興味がないが、せっかくある空間を眠らせておくのはもったいない、という思いが根底にあるようです。このような「活用したいけれど、運営まではやりたくない」というニーズに対し、我々設計者がどのように応えられるかがポイントです。
「運営は任せたい」というニーズ
設計施工はもちろんのこと、運営全般を代行することが求められるケースが非常に多いことがわかりました。設計施工だけであれば、私たちの業界の中でカバーできますが、運営面となると、集客、清掃、維持管理といった幅広い業務を扱う必要があり、難易度が急激に上がります。
民泊をビジネスとして成功させるためには、設計施工だけでなく、運営管理まで一貫して提供する体制が求められているのです。ここで問題となるのが、特に「清掃」です。
民泊運営の課題:清掃の重要性
民泊運営で最大の課題となっているのが「清掃」です。特に地方の民泊では、清掃スタッフを確保することが難しく、それが運営上の大きなハードルとなっています。清掃の質が下がれば、ゲストの満足度も下がり、最終的には施設全体の評価に影響を及ぼします。
運営が成功するかどうかは、細部への気配り、特に清掃のクオリティに大きく依存しています。今回の展示会でも、多くのオーナーが「清掃」を大きな課題として挙げていました。設計者としても、空間をデザインするだけでなく、その空間がどのように維持されるか、運用に至るまで考えることが求められています。
ビジネス機会としての民泊運営
展示会で感じたことは、民泊は設計施工の業務範囲を超えて、新たなビジネス機会を提供しているということです。民泊運営を支えるためには、設計施工+運営管理の一貫したサービスを構築することが鍵です。
例えば、運営面でのサポートを提供することによって、クライアントに対して一貫したサービスを提供できると、設計者としての価値も高まります。特に、地域に根ざした運営体制を作り上げることが重要です。
清掃の問題を解決するためには、地元のリソースを活用し、地域との協力体制を築くことが求められます。地元での清掃スタッフの確保や、パートナー企業との連携を強化することで、持続可能な民泊運営が可能になります。
地元リソースとの連携が鍵
民泊運営において最も重要なのは、地域社会との連携です。清掃スタッフや管理スタッフなど、地域のリソースをうまく活用することが、持続可能な運営を実現する鍵となります。今回の展示会を通じて、地元との協力体制を築くことが運営の成否を分けると感じました。
「けしき」の公式ラインやインスタ、ウェブサイトを通じて、清掃協力者を募り、地域でのネットワークを広げることで、一緒に事業を盛り上げていきたいと考えています。地域の人々と共に事業を進めることで、地域社会にも貢献しながら、ビジネスとしての成功を目指すことが可能です。
企画、設計から施工そして運用までの流れ
ここで、民泊を含めた空間デザインの依頼から運用までの流れをシンプルに説明したいと思います。お客様にとっても、どのように進むのかが分かりやすくなると感じています。
- ご相談(無料)
- 最初にお客様のご要望やアイデアをお聞きします。初回のご相談は無料ですので、気軽にお問い合わせください。
- 企画
- お客様のニーズに基づき、最適なプランを提案します。ここで全体の方向性を決めていきます。
- デザイン
- 空間のイメージを具体的にデザインします。コンセプトを視覚化し、お客様に確認いただきます。
- 設計
- デザインが決定したら、詳細な設計図を作成します。必要な設備や素材もここで決定します。
- 施工
- 設計図に基づいて、実際に工事を進めます。プロの施工チームが高品質な空間を仕上げます。
- 運営
- 引き渡し後もサポート。運営に関するアドバイスや、必要な管理をお手伝いします。
このような流れを示すことで、お客様は依頼から完成、そして運用までの全体像を把握しやすくなります。
まとめと今後の展望
今回の展示会を通じて、特に感じたのは、民泊に対する新たな需要とその運営における課題でした。空間デザインは単に設計・施工をするだけではなく、その後の運営、特に維持管理が成功の鍵となります。清掃という具体的な課題をどう解決していくか、地域リソースとの連携がどうしても必要になることを再確認しました。
これからの空間デザインでは、クライアントにとっての利便性を高めるために、一貫したサポート体制を提供することが重要です。地域と協力し、持続可能で魅力的な空間を作り上げることで、設計者としての新たな価値を提供していきたいと考えています。
この記事が、設計者の皆さんにとって、これからの設計に役立つヒントになれば幸いです。皆さんも新たな挑戦に向けて、一緒に未来の空間を創り上げていきましょう。
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