貸別荘の空間価値を最大化!湊の古民家リノベに学ぶプランニング術

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湊の古民家改装のようなプロジェクトで、効果的なプランニングを行うために、一番重要なポイントは、柔軟に状況に応じて対応することです。なぜなら、現地の状態やクライアントのニーズが常に変化するからです。

そこで不満要素の原因の一つに既存の構造を無視した設計ということがあります。それを現場での実地確認を重視したプランニングを考えるうえで大切なポイントは

① 既存建物の正確な把握

② 立地条件を最大限に活かす

③ コンセプトに沿った空間作り

です。これを実現する方法として5つあります。

① 既存の構造や要素をデザインに活かせるか?

② 現地確認を基にプラン修正が可能か?

③ お客様の動線や居心地の良さを確保できるか?

④ コストとデザインのバランスが取れているか?

⑤ クライアントのニーズを反映したプランになっているか?

上記のポイント、手法を活用することで、筆者が実際に進めた古民家改装プロジェクトでは、効果的で魅力的なリノベーションが実現しています。重要なポイントとして、ぜひ覚えておきましょう。

1. はじめに

インテリアデザイナーや建築家を目指す人にとって、空間をどのようにデザインするか、具体的なプロセスを学ぶことは非常に大切です。今回は、湊の古民家改装を事例にして、プランニングの進め方をストーリー形式でご紹介します。実際のプロジェクトでは様々な要因が絡み合うため、プランニングには柔軟な思考が求められます。このブログを通じて、リアルなプロセスを体験しながら、プランニングのポイントも学んでいただければ幸いです。

2. 既存の古民家を調査

プロジェクトが始まった最初の段階で、まずは既存の状態をしっかりと把握することが大切です。湊の古民家の場合、母屋は平屋で、その後に2階建てが増築されていました。このような構造を理解するために、まずは現地調査を行い、既存の図面を起こすことから始めました。

建物の既存状態を図面で正確に把握することは、後のプランニングにおいて重要です。特に古民家のような場合、増築や改修が多く、元の構造が複雑になっていることがあります。この段階で正確に図面を作成しておけば、プランニングがスムーズに進むだけでなく、施工段階でのトラブルも回避できるでしょう。

ポイント1:既存建物の正確な把握が重要

既存の建物状態を正確に把握することが、プランニングの基礎です。図面作成時には、建物全体の構造や設備を詳細に確認し、後のプランに影響を与える要素を見逃さないようにしましょう。

3. 建物の傾きと解体の判断

既存の図面を起こし、詳細な調査を行っていく中で、2階建て部分が地盤沈下の影響か、建物全体が傾いていることがわかりました。この段階で、建物の安全性や耐久性についての検討が必要となります。特に古民家では、地盤の問題や老朽化が進行している場合が多く、これを無視してデザインを進めることはできません。

そこで、全部解体して新築にするか、あるいは2階建て部分だけを解体して平屋をリノベーションするかの二つの選択肢を考えました。最終的には、コストと安全性、そして古民家の魅力を残すという観点から、2階建て部分のみ解体し、平屋のリノベーションを進める方針を決定しました。

ポイント2:リスク評価と解体の選択肢

古民家などの改装プロジェクトでは、解体をどの程度行うかが重要な判断ポイントです。安全性、コスト、デザインのバランスを見ながら、最適な解体プランを選びましょう。

4. 高台の特性を活かしたプランニング

次に、具体的なプランニングに入ります。敷地は左側からアプローチでき、図面上では上方に海や富士山が見渡せる高台の物件でした。このロケーションは、古民家改装の大きな魅力の一つです。こうした自然環境を活かしたデザインを考えることが、プランニングにおいて大切です。

まず、水回りを左側に配置し、そこを中心にプランをスタートさせました。お風呂を設置する際には、景色を楽しみながらリラックスできるよう、屋外デッキと浴室を隣接させることを考えました。こうすることで、家の中から直接景色を楽しむことができ、空間の魅力を高めることができます。

ポイント3:立地条件を最大限に活かす

建物のロケーションや周囲の環境をプランに反映させることで、特別な空間を作り出すことができます。特に自然環境を取り入れたデザインは、訪れる人に感動を与える要素となるでしょう。

5. プラン修正と水回りの移動

一方で、右側にはバーベキューデッキをゾーニングしましたが、この位置はアプローチや駐車場に近く、プライベート性に欠けることが判明しました。プランニングの初期段階では、こうした問題点が現れてくることも多いです。プライベートな空間として機能させるために、外構で壁を作ることも検討しましたが、結果的にコストや機能性を考慮し、水回りの位置を右側に移動することにしました。

この変更にはもう一つ理由があり、排水設備の最終マスが敷地の右側にあったためです。このように、現実的な条件もプランに影響を与えるため、柔軟な対応が求められます。

ポイント4:柔軟なプラン修正

プランニングは、現地確認や状況に応じて柔軟に修正していくことが大切です。理想的なプランを追求しつつも、現実的な制約に対応できるデザイン能力が必要です。

6. 解体後の現地確認と構造の問題

解体後、現地を確認しながらプランを進めていくと、思わぬ課題が発生しました。古民家の構造には大きな太鼓梁がかかっており、この柱が抜けないことがわかりました。こうした既存構造の制約を活かしながらデザインを進めることが、古民家リノベーションの醍醐味です。

この太鼓梁は、建物の歴史を感じさせる特徴的な要素でもありました。そのため、梁をデザインの一部として取り入れることで、古民家の良さを残しながら新しい空間を作ることができました。

ポイント5:既存構造を活かしたデザイン

既存の建物には、デザインに活かせる特徴的な要素が多くあります。古い梁や柱をそのまま残すことで、歴史的な雰囲気を取り入れたモダンな空間を作り上げることが可能です。

7. コスト圧縮と浴室の配置問題

プランニングの途中で、コストの圧縮も考慮しなければなりませんでした。既存の欄間や和室の骨格は可能な限り残すことで、無駄な解体や新規施工を避け、コスト削減を図りました。一方、浴室については、既存の室内に設置することが難しく、屋外に増築することになりました。

屋外に浴室を設置することで、景色の良い場所でリラックスできるというメリットがありましたが、その分コストが増大しました。今振り返ると、浴室をもう少し小さく設計すれば、既存の室内に配置できたかもしれません。このように、コストとデザインのバランスを取ることも、プランニングの重要な要素です。

ポイント6:コストとデザインのバランス

プランニングでは、コスト意識とデザインのクオリティを両立させることが大切です。クライアントの予算内で最大限の効果を出すためには、無駄を省きつつ、魅力的なデザインを提供することが求められます。

8. ヨガ、サウナ、アナログリトリートコンセプト

最終的には、運営面も考慮して、リノベーション後の施設に新たなコンテンツを加えることを決定しました。デッキにヨガスペースや水風呂を設置し、さらにサウナを屋外に設置することで、訪れる人がリラックスし、リフレッシュできる環境を提供します。

このプランニングは、アナログリトリートというコンセプトに合わせて修正されました。デジタルから離れ、自然や体を使ってリフレッシュできる空間を作ることが、このプロジェクトの大きなテーマです。

ポイント7:コンセプトに沿った空間作り

施設やプロジェクトのコンセプトに合った空間作りをすることで、体験価値を高めることができます。デザインだけでなく、どのような体験を提供するかを考えたプランニングが求められます。

9. 最終プランと結論

このようなプロセスを通じて、最終的なプランが完成しました。プランニングは一筋縄ではいかず、現場や様々な要件に応じて修正が必要になることも多いですが、柔軟な対応力が求められます。湊の古民家改装の事例を通じて、プランニングの実際の流れを体験していただけたかと思います。

ポイント8:プランニングは唯一の方法ではない

今回のプランニング方法は、あくまで一例です。プロジェクトごとに最適なプランニングの方法は異なるため、状況に応じた柔軟な思考と対応が必要です。

10. まとめ

プランニングは、デザインの根幹を支える重要なプロセスです。古民家改装のように、既存の建物や環境を活かしながら新しい価値を創造することが求められます。今回の湊の古民家の事例を通して、柔軟で実践的なプランニングを学んでいただけたでしょうか。インテリアデザイナーや建築家を目指す皆さんにとって、今回の事例が参考になれば幸いです。

湊の古民家のインスタグラムやっていますので、ご覧ください。
https://www.instagram.com/minato_teitaku/

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